2015年1月の記事一覧
教養レベルにおいて,『英語で読む 銀河鉄道の夜』(宮沢賢治作,ロジャー・パルバース訳,ちくま文庫)を選択教材としています。
翻訳者のロジャー・パルバース氏は,「宮沢賢治だったら,あー,きっとこういう表現をするんだろう」と半ばトランス状態になって翻訳に取り組んだそうです。2013年には,宮沢賢治の詩集を翻訳した "Strong in the Rain"(2007) で野間文芸翻訳賞を受賞しています。ほかに井上ひさし原作『父と暮らせば』の翻訳も手がけています。
英語で書かれた『銀河鉄道の夜』を精読することで,淡く美しい賢治独特の文体をより身近に感じることができ,「外国語を知らない者は,自国語についても無知である」というゲーテの言葉を再認識しました。
現在,書店に並んでいる『英語で読む 銀河鉄道の夜』は,パルバース氏の翻訳第4稿を出版したものですが,2011年に 電子書籍『Night On The Milky Way Train』(2011) で最新版第5稿を発表しています。常に better を希求するパルバース氏の姿勢に,賢治に対する強烈な思いが伝わってきます。